・青春18きっぷをできるだけお得に使いこなす乗り方を紹介
以前青春18きっぷの基本的な利用方法と注意点について解説する記事を書きました。
このページを読むとわかること ・青春18きっぷは1枚のきっぷ ・しかし、その1枚のきっぷで5日ぶん乗車することができる ・一人で五日間旅行をしても5人で日帰り旅行してもOK ・1日あたり2,410円でJR線全[…]
今回は青春18きっぷでできるだけ得する方法について紹介したいと思います。
(復習)青春18きっぷとは
本題に移る前に青春18きっぷについて簡単におさらいしておきましょう。
青春18きっぷは1日あたり2,410円でJR線全線が乗り放題になるきっぷです。
しかし、特急列車や新幹線には乗車できません。
また、学生の長期休暇に合わせて発売されるきっぷのため発売期間が限定されています。
さて、ここからはできるだけ1日あたり2,410円の元を取るためのお得な青春18きっぷの利用方法について紹介していきましょう。
一筆書きは元が取れない
青春18きっぷのお得ポイントは何といっても経路によらず乗り降りが自由になるということです。
以前、こちらの記事で書きましたがJRのきっぷは1枚で長く乗れば乗るほど1キロ当たりの運賃が安くなるという性質を持っています。
これはJRの「きっぷのルール」に書いてあるこちらの距離と運賃表の表を見れば一目瞭然です。
以下、JR西日本の「きっぷのルール」から表を抜粋します。
ちなみに、きっぷは片道100km以上乗ると有効期限が2日以上になり、後戻りしない限り途中下車が何回でも認められるようになります。
つまりA駅からC駅までいく際に、B駅で途中下車するのであればA→B、B→Cという2枚のきっぷを買うのではなく、A→Cというきっぷを1枚で買ってしまった方が安くなるのです。
(しかしこれはA駅からB駅の経路上にC駅がありかつ駅からA駅からC駅の営業キロが100km以上である場合に限定されます。途中下車は片道100キロ以上でしか認められないからです)
以前このようなきっぷを使って日本アルプスをぐるっと一周してくるような旅行をしました。
そのきっぷの仕組みについてはこちらの記事をご覧ください。
このページを読むとわかること ・JRの安いきっぷの買い方を紹介 ・できるだけ長く一筆書きになるように買うのが原則 ・例外もあるのできっぷ分割プログラムを使おう 今回は切符の種類と、長距離旅行する際の安い切[…]
つまり一筆書きでぐるっと一周するようなきっぷであれば通常のきっぷを買った方が安いという場合がありえます。従って、青春18きっぷを有効利用するのであれば一筆書き以外の経路が良いです。
例えば、A駅からC駅に行くのに経路上にないD駅に寄り道したり、行ったり来たりするような往復の旅行が元が摂りやすいということになります。
しかし、このルール反してきっぷをわざと分割して買った方が安いということも往々にしてあります。
その仕組みは以下のようになっています(乗車券分割プログラムのサイトより引用)。
上の表の「11~15キロ」と「26~30キロ」の運賃に注目してください。
「11~15キロ」の運賃は「240円」ですが、その倍の「26~30キロ」の運賃は「510円」です。 つまり、「11~15キロ」の区間の乗車券を2枚買えば「480円」で最大30キロ乗車することができる……というのが分割すると安くなる理由の1つです。 上記の区間に限らず、このようなケースは数多くあります。 もちろん、ちょうどよい距離間隔に駅がなければなりませんが、乗車券分割プログラムによって最適なポイントを見つけることができます。
また、東京、大阪の電車特定区間や他者線との競合で別途安い運賃が設定された区間もあります。
このように例外はいくつかあるので、原則「長い距離買った方が安い」ということを覚えておいてください。
ローカル線は元が取りやすい(地方交通線運賃)
JRの路線図において青い線で表してあるところは「特定地方交通線」と言います。
どのような路線かと言うと大雑把に言ってしまえば赤字のローカル線のことで赤字を補填するために割高な運賃が設定されています。
しかし、青春18きっぷにおいては特定地方交通線もそれ以外の幹線も分け隔てありません。したがって、少しでも元を取ろうとするならば普段は運賃の高い特定地方交通線に乗った方が元が取りやすいということになります。
青春18きっぷといえばローカル線の旅といったところがありますから、青春18きっぷのコンセプトにも一致している使い方と言えるでしょう。
ローカル線は元が取りにくい(かも?)
しかし、早速先ほどと矛盾したことを言ってしまいますが、ローカル線は一側面を考えると元が取りにくいと考えられることもあります。
JRの運賃は距離によって決まっているのですが、ローカル線は速度が遅く長時間走っても大幹線ほど長い距離乗ってないという場合が多いからです。
そのため長い時間乗った割にはそんなに距離は移動しておらず、運賃がそこまで高くないといった場合があり得ます。
例えば大阪から姫路まで新快速に乗車した場合の時間はちょうど1時間ほどで運賃は1,520円です。
一方で、姫路から佐用に至る姫新線はちょうど1時間程度ですが、運賃は860円しかかかりません。これは姫新線のスピードが遅く、1時間乗った割には距離が短いからです。
- 大阪-姫路 1時間で87.9km 1,520円
- 姫路―佐用 1時間で45.9km 860円
これはJR西日本の最も速い新快速列車と必殺徐行として知られる姫新線を比較した極端な例ですが、このようなことは日本全国あらゆるところで起こりえます。
従ってローカル線で元を取ろうとするならば一番最初に書いたように一筆書きにならないようにジグザグ走行するような乗り方や、行ったり帰ったりするような乗り方が元が取りやすいと言えるでしょう。
(補足)本数少ないので途中下車がしにくい
さて、18きっぷの音の取りやすさというよりも利用する際の注意点ですが、ローカル線の場合本数が少ない為途中下車の難易度が高くなります。
大幹線ですと途中下車したところで15分から30分程度までは次の列車が来るのですが、ローカル線の場合次の列車が2時間後などざらです。
そのためローカル線を使った青春18きっぷの利用を計画する際はちゃんと前もってる予定を立ててから出発するようにしましょう。
大幹線は特急が乗れないので損した気持ちになる
またこちらも青春18きっぷの元の取りやすさというよりも精神的な部分によるものですが、大幹線の場合、特急列車に乗れないため損した気持ちになります。ローカル線の場合はそもそも特急列車が設定されていない路線が多いですから、そこまでのデメリットにはなりません。
青春18きっぷで新幹線や特急列車に乗る際は、青春18きっぷの利用を放棄して乗車券と特急券をそれぞれ購入する必要があります。
一方で通常の乗車券を買い一筆書き乗車するような場合は特急券のみを買い足すことで特急電車や新幹線に乗車可能です。
そのため大幹線上を18きっぷで利用している時「通常のきっぷを買っていたらあとちょっと買い足すだけで新幹線に乗れたのにな」と後悔するような場面が多くあります。
旅行のルートを考えてみて一筆書きにできないか、一筆書きをする際は18きっぷでちゃんと元が取れているかちゃんと計算してから乗るようにしましょう。
きっぷを全く持ってないものとして乗車券&特急券を買わないといけないということです。
もし、18きっぷと通常のきっぷの1日当たりの運賃が同じならば通常のきっぷを買うことをお勧めします。
理由は18きっぷシーズンを外しているから列車が比較的空いていること、さらに再三述べているように特急券を買い足すだけで新幹線や特急に乗れるようになるというメリットがあるからです。
例えば東京から大阪まで普通乗車券を買った場合、8,910円です。これは600kmまでのきっぷとなるので有効期限は4日となります。
東京から大阪までのんびり途中下車しながら一筆書きで行った場合、1日当たりの運賃は8,910÷4=2,227円となります。
青春18きっぷが1日あたり2,410円なので東京-大阪間を4日かけて行くのであれば18きっぷではなく普通の乗車券を買えば良いということがわかります。
しかし、18きっぷのメリットは一筆書きでなくてもよいということです。
東海道線を使えば東京-大阪は一直線ですが18きっぷの場合完全に乗り放題きっぷなので行ったり来たりすることができます。例えば東京から熱海まで遊びに行ってホテルが横浜にあるので一旦横浜に戻るなんてこともできます。
旅行のルートが一筆書きにならないことがあらかじめ決まってるような場合は18きっぷの方がお得かもしれません。
青春18きっぷのメリットを生かす乗り方は?
さて、ここからは青春18きっぷの元を取るために効率の良い列車の乗り方について紹介します。
大幹線を行ったり来たりする6の字乗車など
まず1つ目は大幹線を行ったり来たりするような乗車方法や6の字の乗車など方法です。
これは一番最初に述べたように一筆書きにならないため通常のきっぷでは都度きっぷを買い足さなければならないところを18きっぷ1枚事足りてしまいます。そのため18きっぷのメリットが最大限生かせるような乗り方になります。
往復する
これも1つ上の一筆書き乗車を避けるというところに通ずるのですが、単純に家からある地点まで行って帰ってくるといったような往復乗車の場合18きっぷでは元が取りやすいです。
青春18きっぷと言うと1日どれだけ乗っても2,410円なので遠くに遠くにと行きたくなる気持ちはわかりますが、実は家から日帰りで行けるような地点を目的地にして往復するような旅行が最も18きっぷ的には元が取りやすいのです。
行き当たりばったりの旅を楽しむ
青春18きっぷの最大のメリットは経や目的地に依らず一律の運賃(1日当たり2,410円)が適用される事。
つまり、行き当たりばったりの旅をするのであれば青春18きっぷ一択です。
大阪から名古屋に行くと考えましょう。
東海道本線で米原-岐阜などを通って名古屋まで行くつもりでしたが、途中で気が変わって草津で下車。そこから草津線、関西本線を乗り継いで名古屋に向かったとします。
通常のきっぷですと経路が変わったため運行距離が変わり、運賃も変わります。きっぷを車掌や改札機に通すと追加の精算が必要になるかもしれません。しかし、青春18きっぷではこの必要がないのです。
また、目的地は名古屋としていましたが、安いホテルが見つかったのでその先の刈谷まで行ったとします。これもまた通常のきっぷですと、名古屋-刈谷のきっぷを再度購入する必要がありますが、青春18きっぷではその必要はありません。
このような行き当たりばったりの旅が楽しめるのも青春18きっぷの魅力です。
行きと帰りでルートを変えると面白いが元取り計算的にはNG
最後ですが行きと帰りのルートを変更してしまうと一筆書き乗車が可能になるような場合があるので、通常のきっぷを買った方がコストパフォーマンスが良いかもしれません。
そのため18きっぷの元とり計算的にはNGです。
行きと帰りでルートを変えるとそれぞれ違った車窓が楽しめて旅行的には楽しくなるのですが、18きっぷで元を取るということを考えると不利になってしまうのです。
具体例を挙げましょう。
新宿から名古屋まで行きは中央線経由帰りは東海道本線経由で移動したとします。
これは新宿発新宿行きのような0の字乗車になり一筆書きでできるため通常の乗車券を通しで買うことができます。
このような出発駅と到着駅が同じきっぷは想定されていないためYahoo乗り換えアプリなどでは運賃の計算ができないのですがこのようにして計算することができます。
名古屋ー新宿(東海道線、静岡、熱海経由) 372.7km (6.380円)
合計で759.3kmです。
JRのきっぷのルールによると759.3kmの運賃は10,670円です。
単純に東海道線で往復した場合の運賃は
これが2回分なので、12,760円です。
そのため通常のきっぷの場合行きと帰りのルートを変えた方が安いと言うことになります。
しかし、青春18きっぷのメリットは経路に依らず1日乗り放題になるということ。
そのため、通常のきっぷでは高くついてしまうような乗り方をした方がお得!ということになります。したがって、青春18きっぷのの元を取るならば行きと帰りは同じルートにした方が良いのです。
最後はかなりケチくさい話になってしまいましたが青春18きっぷの最大限生かすような乗り方、ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。
(余談)新宿-名古屋の移動について深堀り
余談ですが最後に出てきた新宿名古屋間を中央線・東海道本線でぐるっと一周するようなきっぷについてもう少し深掘りしてみましょう。
先ほどの計算でも述べたことですが、行きと帰りのルートを変更した方がきっぷが安くつくというのは意外ですよね。
旅の楽しみを増やすためにもぜひ行きと帰りのルートは別々にして一筆書きできるようなルートを探していただきたいと思います。
当然100km以上で途中下車が何回でもできるのでかなり面白い旅行になりますよ!
また、先ほどの表にあったようにこのきっぷの有効期間は5日間で料金は10,670円となります。このきっぷを5日間まるまる使った場合1日あたりは2,134円となり青春18きっぷの一日当たりの料金2,410円を下回ります。
したがって、名古屋まで東海道線中央線でぐるっと一周するようなきっぷを5日間使うような場合は18きっぷを買うよりも通常のきっぷを通しで買った方が安いということがわかります。
また、通常のきっぷなので列車の本数が少ないところや急いでる場合などは特急券を別途買い足すことによって新幹線や特急列車にも乗車可能です。
これはかなり費用対効果が高く時間節約にもなりますので大きなメリットとなります。
4日間で旅行した場合でも1日あたりは2,667円となり青春18きっぷの2,410円よりは高くついてしまいますが、私なら特急券を別途買い足すことによって新幹線や特急に乗れるというメリットを買ってこちらのきっぷを買うでしょう。
特に中央本線の末端区間は普通列車の本数がかなり少なくなっています。特急あずさやしなのに乗れることによる時間短縮効果はかなり大きいものがありますのでぜひ有効に活用しましょう。